【溶融亜鉛メッキ・ドブメッキ】表面処理の基礎知識

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溶融亜鉛メッキとは

 溶融亜鉛メッキとはドブメッキ、ドブ漬けとも呼ばれ、溶けた亜鉛の中に鋼材を浸すことで製品の表面に亜鉛皮膜を付着させる処理です。溶融亜鉛メッキには『保護皮膜作用』と『犠牲防食作用』という、大きな特徴がります。

犠牲防食:溶融亜鉛メッキには『犠牲防食作用』があり、メッキ膜に傷が出来、生地が露出した場合でも、鉄より先に亜鉛が溶け出しすことで錆の発生を抑えます。

使用例

 溶融亜鉛メッキは非常に優れた耐食性を持っているため、様々な用途で使用されています。

  • 道路標識
  • 防音壁
  • グレーチング
  • 鉄道高架
  • 照明等
  • 工場などの建築物
  • ガードレール

加工工程

  1. 脱脂
  2. 水洗
  3. 酸洗
  4. 水洗
  5. 前フラックス処理
  6. 乾燥
  7. メッキ
  8. 後処理
  9. 冷却

種類と記号

種類   記号     付着量g/㎡   メッキ膜厚μm           
1種AHDZ A28~42
1種BHDZ B35~49
2種35HDZ 35350以上49以上
2種40HDZ 40400以上56以上
2種45HDZ 45450以上63以上
2種50HDZ 50500以上69以上
2種55HDZ 55550以上76以上

溶融亜鉛メッキ+塗装

 様々な用途で使われている溶融亜鉛メッキですが、景観上色彩が要求される場合や腐食環境が特に厳しい所では溶融亜鉛メッキの上に塗装をすることも可能です。

例)溶融亜鉛メッキ HDZ 35 + 下塗り + 上塗り

  溶融亜鉛メッキ HDZ35で49μm以上の膜厚を付着させます。下塗りをエポキシ樹脂系の粉体塗装にて膜厚を稼ぎ、上塗りをポリウレタン樹脂系の溶剤で着色する事でハイスペックな耐腐食性のある製品を加工する事が可能です。実際の加工をする構造にもよりますが、特に箱系の物では溶融亜鉛メッキの付着量にムラが出来ますので、仕様を決定する際は溶融亜鉛メッキ+塗装の合計膜厚で管理するのがよいかと思います。塗装膜厚のみでの管理値を設定した場合、膜厚測定の計測ポイントを予め客先と協議をし、溶融亜鉛メッキ完了後にポイントごとの膜厚測定が必要なります。

製品構造とメッキ品質の関係

 製品の形状により、外観や加工コストなどの大きな影響が発生します。設計段階から注意する事が必要です。

 密閉構造では浸漬が出来ないため、開口部が必要です。密閉構造の物や、密閉部が多い物は高温の亜鉛層に浸漬すると爆発をする恐れがあります。

 適正な箇所にスカラップ(メッキ抜き)がを設ける事で同じような構造の製品でも、溶融亜鉛が流れやすくなるため、外観を美しく仕上げる事が可能です。

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