【生産管理の仕組み③】中小企業若手社員向けビジネススキル/購買管理

ビジネススキル

 企業が生産活動を行うにあたり、外部より自社が求める部材を必要な時期に、必要な数量を手配する必要があります。工程を管理する上で、購入品(外注品)はQ・C・Dに影響がでる非常に重要なプロセスです。

購買と外注

 工場では購買・外注という言葉が使われていると思いますが、この購買と外注の違いについて理解をする必要があります。

 ・購買  生産・営業活動に必要な部品・材料・工具(設備)などを購入する

 ・外注  自社が設計した部品の加工及び組立を外部の企業に委託する方法

 購買と外注加工品で、受け入れ時の検査方法やトレーサビリティー、不具合時の対処方法が変わりますので、部下へ指導を行う際は、購買品なのか、外注加工品なのかをそれぞれの違いを教育し、実務に当たらせるのがよいでしょう。

購買管理の原則

 物を購入する、発注する購買部門は会社の資金を使う非常に重要な部門です。その為、業務にあたる担当者は購買管理の原則を十分理解する必要があります。購買管理とはQCD(品質・コスト・納期)の最適化を図る活動です。

購買管理の5原則

 購買管理の5原則に沿い、購買を行う事が会社の利益につながります。

 価格管理適正な価格という点においては、複数の仕入先から見積を取る、相見積を行う事で適正な金額の把握を行う事が必要です。取引先の選定にはQCDの他にも不具合時の対応や協力体制など総合的に判断する事も必要です。

製番発注と在庫手配

 部材の発注方法としては大きく2つに分けられます。製番発注と在庫手配です。

製番発注

 製番発注とはあらかじめ発行された製番(製造番号)と呼ばれる番号に部品を紐づけ部材の調達を行います。個別もしくはロットごとに必要な数量を発注します。設計部門から発行された部品構成表に記載の部品を必要な数量分購入します。

製番管理方式は製品に番号(製番)を付与し、その製番で部品の発注・加工指示・組立指示を行い、管理をする方式です。受注生産でも在庫運用製品でも、自社の適正ロット毎に製番を取得し工程を組む事で、原価や部材の管理が容易になります。

在庫手配(定期発注方式と定量発注方式)

 在庫の手配には定量発注方式と定期発注方式を用いて発注を行います。

定期発注方式

 発注のタイミングを月末や、週末と予め決めておき、その時の在庫量に合わせて発注量を調整する発注方式です。発注量は期間に使用した量で応じて決定するため、毎回異なります。

 発注期間と調達期間での使用量を予測し、発注残と手持ち在庫に安全在庫を加え発注量を決定します。

安全在庫とは、調達期間中での需要変動や不確定な要素を考慮し保持しておくべき在庫です。安全在庫がない場合、欠品を起こしてしまい、売上機会の損失を発生させてしまいます。

 定期発注方式はLTの必要な部材の手配に有効です。発注後、数日で入荷可能な部品であれば安全在庫を考慮する必要がない為です。部材の入手性や価格などを考慮し、部材によって発注のタイミングを決定するのがよいでしょう。1か月に1回なのか、2週間に1回なのか、管理者が決定する必要があります。

定量発注方式(発注点方式)

 発注する量は一定で発注するタイミングが毎回異なる発注方式です。定期発注方式より安価で使用量が多い部品に適用します。 定量発注方式は発注点方式とも言い、在庫量が予め定めた数量下回った時に決められた量だけ発注する方式です。発注点の設定は調達リードタイム需要量に安全在庫を加えて設定します。

ダブルビン方式

 ダブルビン方式とは、最初に2つの箱を用意し、1箱使用したら1箱買うというような、定量発注方式の一種です。※調達リードタイム中のが1箱以下であることが条件です。

 ネジやワッシャーなどの副資材として使用するような安価な部材で採用される事が多いです。ネジやワッシャーは在庫数を厳密に把握する事が難しい事、厳密に管理する必要もない為です。ダブルビン方式を使う事で、なるべく管理費用を掛けず、部品の品切れを防ぐ事が出来ます。

ABC分析による、発注方式の決定

 発注方式を決定する上で、ABC分析を実施する事が効果的です。在庫部品の中には、高価で使用量の多い物から、安価で少量した使用しない物まで様々です。その為、部品の重要度に応じ管理レベルを決定する事で、無駄な管理工数を掛けす、合理的に管理する事が可能になります。

 Aランク: 定期発注方式

 金額が高く、使用量が多い部品は在庫量を抑える必要がある為、発注量を都度調整する方法が有効です。また、調達LTに時間を要する部品は、部品欠品を防ぐ必要がある為、定期的に在庫数を確認しながら発注を行うのがいいでしょう。

 Bランク: 定量発注方式

 Cランク: ダブルビン方式(常備品管理方式)

 最重要部品は、定期発注方式定量発注方式の両方でフィルターを掛ける事で、必ず欠品を防ぐ必要があります。定期発注方式で在庫量を見直し、急な生産量の変化による欠品を防ぐため、発注点を高めに設定す事が理想です。

まとめ

 購買部門とは会社の利益に直結する非常に重要な部門です。それぞれの会社、製品及び部品に合わせた手配方法を選択する事で、仕入れ金額の低減や余剰在庫の削減が出来るはずです。購買部門と生産管理部門の連携で相乗効果が得られることでしょう。

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